2025.02.28
森のギャラリー
三寒四温の時期となりましたが、まだまだ寒い日が続いています。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は帯広管轄山林で取り組んでいるフクロウ類の巣箱の設置状況についてお伝えします。
帯広管轄の山林では、カラマツ等をはじめとした樹木の樹皮を食べてしまう野鼠(エゾヤチネズミ)の被害が深刻です。そこで、野鼠の捕食者であるフクロウ類に樹木を守ってもらおうと巣箱を林内に設置する取り組み を、2022年度から実施していました。2024年度の巣箱の設置は昨年12月26日に実施し、下の写真が実際に設置をしている様子です。
帯広山林事務所では、フクロウ類が安心して利用できるような巣箱づくりに試行錯誤を重ねているそうです。例えば、軒先を伸ばすことにより、フクロウ類の天敵となるテン等が巣箱入り口に入れないようにするため巣箱の屋根がより大きいも のを設置したり、内部に柔らかいおがくずと木片を併せて入れてみた巣箱、おがくずのみを入れた巣箱を作成して巣箱内部の環境にバリエーションを持たせてみたり…
下は実際に作成した巣箱の写真です。左は屋根の大きな巣箱、右はおがくずを入れた巣箱です。
さらに、巣箱は野鼠による被害が確認されている森林内に設置しています。これによって、フクロウ類が巣箱を利用した際に、フクロウ類によるネズミの捕食圧を通じて、その付近での野鼠被害を低減させることが期待できるそうです。
昨年の5月時点では、フクロウ類の繁殖は確認されなかったものの、石井山林内に設置した巣箱の一つでシジュウカラの繁殖利用が確認されました。シジュウカラはネズミの捕食はしませんが、林業では害虫とされる幼虫を捕食し、害虫の発生を抑えてくれます。そのためシジュウカラは、フクロウ類とはまた違う角度で有益な存在であると帯広山林事務所では認識しているそうです。
帯広山林事務所の方より「フクロウ類等が巣箱を利用している未来を想像しながら、今後も引き続き巣箱作りと設置に取り組んでいきたいと思います」とコメントをいただきました。帯広山林事務所で作られた巣箱が森の生き物のアパートとして、たくさん使われるようになるといいですね。