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2021.05.31

森のギャラリー05月森林管理のひとこま

朝晩はまだ冷えますが、日中は蒸し暑さを感じる今日この頃です。
今回は、山林での作業の中で『調査』についてご紹介します。
ご紹介する調査は2つあります。

○選木調査

 まずは「選木調査」です。
 何故選木調査を行うのでしょうか。人工林の大半を占める針葉樹は、ある程度密集させて植えることで苗木同士で成長を競わせ、上方向に真っすぐ生育するよう管理します。材として商品価値を持たせるためには、「通直完満」と呼ばれる真っすぐで太さが均一な樹形が望ましいからです。そのため、ある程度密な状態で若木を生育させるのですが、植えた木が大きくなるにつれて、そこからさらに成長するために空間を必要とするため、間伐とよばれる間引き作業をする必要があります。この間伐作業を行う際、適当に伐れば良いと言う訳ではなく、成長が見込めないような弱い木、枯れや腐れなどがある品質が悪い木、配置を考えて、間引くべきと判断した木を選んで伐採しています。


 選木の基準は主に下記3つです。
1.バイタリティ(生命力):今後数十年にわたり成長する活力をもっているか
2.クオリティ(品質):材として高い商品価値を持った木に成長する可能性があるか
3.空間配置:隣接木と接近しすぎていないか、作業時に傷つきやすい場所に立っていないか など

 また、樹種により選木の仕方は違います。
 たとえばカラマツは、成長するのに多くの光を必要とする木ですので、バイタリティや空間配置を重視して成長が悪い木を伐ります。一方トドマツは、陰樹といわれ、幼樹の頃はあまり光を必要としませんが、大きくなるにつれ多くの光を必要とするため、太くバイタリティがあっても林に光を入れるため木を伐ることがあります。
 作業上の注意点は、悪い木だからといって伐りすぎてしまうとスカスカな林になってしまうので、残す本数をコントロールすること、伐採回数が何回目かを確認して将来の林の姿を想定しながら伐ることです。

 どれも良い木で伐る木を選ぶのが難しい時もありますが、そのような場合はどの木を伐れば多く光が入り、ほかの木が成長するかを考えながら選木しています。
 また、選木調査を行う際には、伐採木の高さや太さも記録します。理由は、出材量を事前に把握し、作業計画や材の販売計画を立てるためです。

 

○測量調査

 もう一つは「測量調査」です。
 基本的に作業を計画する場合はその作業を実施する面積を知る必要がありますが、北海道においては北海道庁で管理している「森林計画図」を用いて作業面積を把握するため、実際に測量を行うのではなく、森林計画図の面積で施業を行うことが殆どです。
 ではどのような状況で実測を行うかと言うと、①皆伐作業を行った後の新植作業時、②作業道を付ける前の測量と作業後の測量になります。
 ①の新植時ですが、長い年月で天然林化したところや、沢地など植栽に不向きなところを植栽地から外す作業を行います。これにより、周囲測量と除地等を除く測量をして植栽面積を確定します。
 ②の作業道についてですが、作業道の新設を行う場合に距離や方位、座標を知るため測量を行い、この測量結果を基に作業道の新設を実施します。また、作業完了後にもう一度測量を実施して、正確な距離や方位、座標を出して図面に作業道を表記しています。

 使用する道具は、昔からコンパスや水平器が用いられてきましたが、今現在はGPSやPDA(小型パソコン)を使用しています(本州の山林では現在でもコンパス測量を行っています)。

 作業上の注意点は、他の所有者と隣接するときは越境しないように測量することです。また、作業中の安全には十分気を付けています。急な斜面で作業をする時には滑落の危険があるため足場に注意を払っています。また、ササや低木の藪をかき分けながら作業をすることもあり、ハチ、クマなどの危険動物と遭遇する可能性もあるため、撃退スプレーを携帯するなど対策を図りながら作業を行っています。
 また、当社では山林調査の効率化と安全性の向上を図るために、航空レーザーセンシングやドローンを用いた空からの調査技術を導入しています。こちらについてはまたの機会にご紹介したいと思います。

森からの便り - 四季折々の一期一会

春の三戸山林です。

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佐本山林_目をこらすと自然の造形美に気がつきます。

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