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2024.10.02

2024年8月 社有林だより

社有林だより

皆さん、こんにちは。

引き続き暑い日が続きます。東京では立秋を過ぎても秋の気配は感じられませんが、日は確実に短くなっており涼しい爽やかな季節を待ち遠しく思います。一方で、8月は大型台風の到来や南海トラフに関連する可能性のある地震の発生などで各地で被害が出ており、被害に遭われた皆さまの無事と早期の復旧、そして今後も大過ないことを願います。
自然災害については、全国75カ所の社有林でも、従来より地震や台風での被害を受けてきましたが、特に最近は気候変動による台風の大型化や線状降水帯発生による豪雨によって被害が甚大化してきています。2018年9月に発生した北海道胆振東部地震(震度7)では、震源に近い似湾乙山林ほか、似湾山林(4,658ha)の各所でも土砂崩れや倒木があり、現在でも急峻な場所で修復が出来ず地肌が剥き出しの場所が残っています。同山林は1911年以来の長い歴史を持ち、カラマツ/トドマツを中心とする人工林での施業(伐採/植樹/育林)が盛んに行われていることに加えて、新千歳空港から車で30~40分の至近にあることから種々イベントや記念植樹の対象地となっていますが、2012年に建立した100年記念碑も倒壊し破損しました(2019年に再興)。

また、千葉の亀山山林(47ha)では2019年9月の台風15号及び同年10月の19号の続けての襲来によって全山林の2割(9ha)が倒木・道路決壊等被害を受けました。亀山山林は首都に近いことから社内外様々な森林プログラムに活用されてきましたが、被害が大きかったことから修復に時間を要し、漸く2023年前半に目途が付き後半にいくつかのイベントを再開することが出来ました。同山林に限りませんが、通常でも伐採が簡単ではない急峻な地形にヘクタール(100m四方)辺り500~600本の樹高20~30mにもなるスギやヒノキがあちこちにバタバタと倒れる状況では、地元森林組合のサポートを得て、重機の作業スペースと安全を確保しながら慎重に対応する必要がありました。今月関東・東北に接近した台風7号の影響は心配でしたが大きな被害が無い様子でひとまず安心したところです。
更に京都・清滝山林(189ha)では、2018年9月の台風21号の影響で森林内の一部が甚大な被害を受けました。同山林は、従来から京都の伝統文化である「五山火送り」や「鞍馬の火祭り」で使用する薪や松明の材としてアカマツやコバノミツバツツジ等を供給しており、2008年には京都府・京都モデルフォレスト協会と三者協定を締結して山林の一部(19ha)を地域の森づくり体験の場として同協会に無償貸与しています。

同山林の被害地整理は漸く被害発生から5年経った昨年秋に完了し、今年春に植樹を行いました。時間がかかった理由は上述亀山山林同様の安全確保に加えて、隣接する多数の個人森林所有者の多くが、被害林復旧に興味なく連絡も無しといった状況で、老朽化した共同運営の林道整備が進まなかったことがあり、結局、当社の全額負担で重機が入れるように道路を整備し修復が進みました。個人所有者が森林管理を放棄し、台風や豪雨被害を受けても何らの修復対応も行わないといった状況は日本の至る所で起こっていると想像され、結果として森林が持つ防災機能が果たされなくなる可能性があり心配です。清滝山林は、その後、2024年に京都伝統文化への寄与を背景として2024年に生物多様性保全に関する国際的な目標である30by30で環境省が設定する自然共生サイトに正式認定されました。又、今春、被害地に新植したコナラ、カエデ、クヌギ、ケヤキ等の広葉樹は元気にすくすくと育っています。
自然災害は避けようがありませんが、将来に向けた健全で強い持続可能な森づくりを目指して日頃から注力すると共に、地元森林組合や取引業者とのコミュニケーションを密として、日本林業の一翼を担う自覚と責任を強くして、被害発生の場合のタイムリーな状況把握と安全かつ適切な修復を徹底して行きます。

三井物産フォレスト
神野泰典

社有林だより - 四季折々の一期一会

亀山山林

似湾山林地震被害地 ①

似湾山林地震被害地②

清滝山林新植

清滝山林新植

清滝山林台風被害地①

清滝山林台風被害地②

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