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2024.09.18

2023年1月 社有林だより

社有林だより

※2023年1月、当社社員向けに発信されました社有林だよりを掲載致します。

新年おめでとうございます。
コロナウイルス感染拡大が続く中で行動制限緩和の明るい兆しが見える中、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとする国際情勢の行方は心配でありますが、2023年が皆さまにとって素晴らしい年になることを願っております。

さて、三井物産フォレストは、三井物産の100%出資会社として北海道から九州まで全国74ヵ所、約44,000ヘクタール(東京23区の7割の広さに相当)の「三井物産の森」の管理・活用を任務としています。森林管理のエキスパートと現場作業に携わるフィールドワーカー、そして管理部門からなる約60名の社員が一丸となって、長い年月をかけて先人達が大切に守り続けた広大な森林の管理に日々取り組んでいます。高品質な森林管理とサービスを提供しつつ、気候変動への対応、生物多様性の保全、水源涵養、災害防止等の社会課題に対して、森林が持つ公益的機能を最大限発揮できるような取り組みを提案・実行しています。木質バイオマス発電向け原料材供給やJクレジット創出もその取り組みの一環です。

森林経営で一番大事なことは、将来に向けての「持続可能な森づくり」です。社有林の4割を占める人工林では、植えて/育てて/伐採(そして又植える)のサイクルは概ね60年で、同期間、健全な森となるように下草刈り/枝打ち/間伐等の施業を丁寧に行います。間伐では、樹種にもよりますが、植樹時にヘクタール当たり2,000〜4,000本植えた木が伐採時には300〜700本になります。又、残り6割の天然生林でも公益に資する高品質な森となるように必要な施業を行います。

ご承知の通り、日本国土の約7割は森林です。一方で、日本林業は高コスト構造により1964年に全面自由化された輸入木材に押されて木材自給率は2000年には2割以下に低下、最近は4割近くに回復していますが、林業経営は引き続き厳しく林業従事者は1960年代の40万人超から近年は5万人未満に減少しています。日本林業衰退の中で問題は、森林に十分な手入れが為されず森が荒廃することで台風や豪雨による土砂災害を起こし易くなることです。近年自然災害での大規模な山崩れや土砂災害が多発しているのにはそうした背景もあると言われています。昨今、森林が持つ公益的機能からその重要性が改めて見直されてきており、日本林業に対する期待も高まっています。我々はその一翼を担う立場から出来る限りの貢献を果たしたいと思っています。

ところで皆さん、「山の神」をご存知でしょうか。日本百科全書によると、「山を支配する神、全国に見られる民間信仰で、多くの土地では山神は女神という、しかし男神という所もあり、夫婦神というところもある。」と説明されています。三井物産の森でも其々の土地での「山の神」を祀っており、毎年の例祭で、山の安全と関係者の健康を祈念します。当日は、山の神が木の本数を数える日と言われ、そのことを畏れ敬い、森での施業はお休みとなります。

三重県の三戸山林では毎年11月上旬に例祭を開催。樹齢100年を超える御神木を拝んだ後に、山を支配する神である「おおやまづみのみこと(大山祇神)」と緑化の神である「いたけるのみこと(五十猛神)」を祭神として1844年に創建されたと伝えられる三戸神社で神事を行い、その後、山の神にお供えした御饌御酒(みけみき)を参拝者全員で戴きながら施業の安全と健康を願います。北海道の似湾/沙流山林を管理する平取事務所では、毎年12月の例祭で手作りの鳥居をお供えと共に御神木に掲げて神事を行います。両所以外でも夫々の伝統に従って「山の神」を祀る例祭が執り行われます。

社有林の施業において安全と無事は何よりも重要です。日頃からの施業で最大限の注意を払うと共に、「山の神」を祀り敬うことで自然への畏敬の念と感謝の気持ちを新たにしています。

神野泰典
三井物産フォレスト

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